「文明の墓場 哲学詩」
著者:生井利幸 編集:沓間宏美(ヴォイージ出版) 発行:成隆出版 初版発行年月:2022年12月 仕様:四六判、80ページ、上製本
本書掲載の詩のご紹介
気高き朝 徹夜して迎える朝 起床して迎える朝 同じ朝でも、 その意味合いは、かなり違う 徹夜して迎える朝は、深い 確かに深いが、どんよりとしている 起床して迎える朝は、その時に始まったばかりの朝 思索は始まったばかりだが、そこに漂う気配は極めて新鮮だ そして、そこで味わう苦味は、頗る引き立つ 苦味は、この世のすべての存在物のはかなさを教えてくれる そして同時に、舌で味わう苦味は、 次第に、全身で味わう“気高い喜び”に変わっていく その気高い喜びは、 その日の時間的空間を、“何よりもまさる優雅な世界”にしてくれる 朝は、一日の始まり 朝をどう迎えるかは人によって違う 私は、 気高く、 優雅な朝を好む
(出典:気高き朝、生井利幸先生著「文明の墓場 哲学詩」(成隆出版)、60ページ)
悲惨極まりない“文明の墓場” 私は今、自然の暗闇の中で蝋燭を灯し、静寂の夜を過ごす 一歩外に出ると、人工的なネオンと雑音で蔓延する “文明の墓場”がそこにある 文明社会は、一見すると、極めて理知的な空間の中において、 理性と理性が相互に交錯しているかのようにも見える だが、私は、この現代社会においては、 文明それ自体が、 “尊厳ある理性的思考”を 遠ざける源流と化してしまっているように思えてならない 今、私は改めて思う この文明社会は、人間の“純粋理性”に 容赦なく“毒”を塗っている、と 来る日も来る日も、 文明の利器に溺れる人間の様相をこの目で見る私は今、 一人でも多くの人間が、 この“毒された文明”から適度な距離を保ち、 純粋理性を介して、 “より尊厳のある思索”を試みることを願ってやまない
(出典:悲惨極まりない“文明の墓場”、生井利幸先生著「文明の墓場 哲学詩」(成隆出版)、58ページ)
動画講義「文明の墓場 哲学詩」第1巻
動画講義「文明の墓場 哲学詩」第1巻 - 文明社会は止(とど)まることを知らない - 講師:生井利幸先生 Naturally here on this planet, fortunately or unfortunately, civilization marches on. Civilization marches on beautifully or noisily. Who is making this state you are actually facing that the state of this civilization here on one of the tiny rocks floating in this solar system locally given, here in one of the galaxies locally given in the universe divinely given? Philosophy guides you to deeply philosophize so many things you are facing here on one of the tiny rocks floating. Is it a delusion you are facing here on one of tiny rocks? Or, you are facing anyway the very matter of reality as one of elements deriving from somewhere human beings do not know? Civilization marches on. Civilization marches doesn't wait for your private sake. 私たちがいるこの地球では、自然なことですが、幸か不幸か文明は止まることを知りません。 文明は、美しく、または、騒々しく進んでいます。 太陽系に存在する地球における現在の文明社会の状況を作ったのは、誰なのでしょうか。 地球に存する私たち人間は、日々、非常に多くのことに遭遇しますが、哲学は、これらの経験を深く考えるよう案内してくれるものです。 果てしなく広がる宇宙という観点から地球を捉えると、地球は小さな存在ですが、この地球で私たちが常に遭遇していることは、現実でしょうか。錯覚でしょうか。それとも、私たち人間の知り得ない所から多くのことを享受していて、その内の一つが「現実社会」なのでしょうか。 文明は、止まることを知りません。文明は、私たちのことに構うことなく、どんどん進んでいきます。